ラブリーホーム*先生の青③




「……青波くん………」



箸を置き
納豆ご飯をスプーンですくい
青波の口元へ持っていく



だけど



ブンブン
青波は首を横に振り


ギラギラした目で
オレの小遣いで買った
カップ麺を見る



「だ、ダメだぞ
カップ麺なんか食わせた日にゃ
イチに怒られるじゃ
済まねーし」



これ以上
立場が悪くなって
たまるか



「ダメだ、ダメだ」


青波はオレを見つめ


(ダメなのー?
ねー、パパぁ
ちょっとだけぇ
ちょっとだけだからぁ

ママにはもちろん
ないしょダヨ★)



上目遣いで
可愛い視線で
お願いビームを出す


「―――――――……っ
………ちょっと、だけ?」


(うん、うん
ちょっとだけ
一口だけ)



「ちょっと、だけ、だよ?」



オレの言葉に
ニパァと笑う青波


青波は誰に似て
そんなに甘え上手なんだか


イチもこれくらい
可愛げがあれば……


食いしん坊 青波が
魅惑の味を知り
一口だけじゃ済むはずなく


半分ほどカップ麺を食い
納豆ご飯は結局
オレが食うはめになった




ラーメンの残り汁を
流しに捨てる時



この事は一生秘密だ
墓場まで持っていく秘密だ



………情けないよなぁ~
青波にカップ麺食わせた事を
イチにバレないようにと
おびえるオレ




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