ラブリーホーム*先生の青③
暗い寝室
新しい布団にもぐり
目の前には
ニパニパ笑う
青波の顔がある
その向こうから
「青波ー
ねんねんよ~」と
先生の声がする
歯みがきを終え
青波を寝室に連れて行くと
青波は自分から
布団に寝転がった
よっぽど新しい布団が
気に入ったんだろう
青波を抱っこなしで
寝かしつけるのは
初めてだった
先生のヒッドイ音程が外れた
子守唄を聞きながら
なんだか青波より
私の方が先に寝てしまいそうだ
目を閉じた私の
頬や耳を
青波はムニムニ触る
その手のひらは
温かく湿っていて
青波も眠いんだな~と感じる
「……青波、寝たな」
先生の声にハッとして
目を開くと
青波のつむじが見えた
あれ?私、寝てた……
と思った時
「あ、ごめん
イチも寝てたんだ」
「あ、ううん、うん」
ぼんやりして
曖昧な返事をする
先生は青波を
しっかり抱きしめ
「こうやってさぁ
同じ布団で抱きしめてやれば
意外と夜、泣かないかもな」
「……え~?
そんな単純な問題なの?」
この1年間
苦労したことが
ちょこっと一緒に寝ただけの
先生に解決できる問題なんて
とっても納得いかない