ラブリーホーム*先生の青③




「抱っこしなくても
青波が寝て良かったね」


全然、眠る様子はなく
先生は低く小さな声で
話しかけてくる



「そうだね
でも多分、今日だけだよ」


「………まぁ、そうかもだけど
少しは喜べば?
素直じゃねぇな」


「もともと素直じゃないし」


「知ってるけどね」


ムカッとして にらむと
フフンと笑う顔が見えた


「バカだなぁ、イチは」


「はぁ?」


「ここは、おだてとけよ
『寝かしつけるの
私より上手いね~』とか
言ってよぉ

オレ、バカだから
そうか、そうかって
簡単に乗るぞ」


「……なにそれ」


「だから、
オレはバカなんだから
もっと上手いこと
使えってこと」


「……よく分かんないけど
自分で自分をバカって言うのは
ズルい気がする………」


もう、一つ一つ、
具体的にあげられないくらい
先生にムカつくことがあって


今さら媚びるみたいに
おだてるなんて出来るか



「まだまだ子供だな、イチは」


ため息まじりに
先生は呟く


「たま~に可愛く甘えときゃ
いいのにさ」


「こっ、子供なのは
そっちでしょーっ!」


思わず小さな声のまま
怒ってしまう


もう構わないって
決めたのに


先生は何にも
分かってくれないんだから
無駄に怒るのは止めたいのに




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