ラブリーホーム*先生の青③
……たった3階建てとは言え
エレベーターくらい付けろや
くそ親父
酔っ払いにゃ&足が不自由な
オレには2階までの
(三島家は2階の角部屋)
階段がしんどい………
ただで貸してもらって
文句言った日にゃ
いくら死に損ないの息子でも
怒られっかなー
いや家業にノータッチで
好きな仕事してる道楽な弟を
憎んでる兄貴に殺されるかぁ
やっとの思いで階段を登り
マンションの通路を歩きながら
グダグダ考えてるオレは
まさか愛する妻が
オレを殺そうとしてるとは
まったく想像もせず
深夜1時43分
家の鍵をゆっくり静かに
差し入れ回し
ドアを開けた………
ガシャン
………ん?
ドアを開こうと
引っ張っても開かない
なんだ?と見てみると
チェーンロックがしてある
なんだよ
オレが帰ってないのに
チェーンロックって
あり得ねぇだろ
「……チッ」
舌打ちして
インターホンに手を伸ばすと
「うるさいからやめて」
小さなドアの隙間から
イチの声が聞こえた
「あ、イチ
起きてたのか
早く開けろよ
お前なー、
チェーンロックはないだろう
オレを閉め出す気か
ハハハハハハ…………」
…………ゾクッ
笑いはすぐ引っ込み
背筋に悪寒が走った
ドアの隙間から
オレをのぞくイチの目は
殺気に満ちていた