ラブリーホーム*先生の青③
……私だったら
手っ取り早い方法を
いつも選ぶ
立って横抱きで揺らせば
青波は早く寝るし
ポンポンしてた
先生の手が止まった
青波が眠ったんだろう
じぃーっと
先生を見つめると
「ん?」って
先生が眉を少し上げた
「……なんかさ、物事って
複雑なようで単純なのかな?」
子供が夜泣きなんて
よくある話で
それくらい ちゃんとしなきゃ
って頑張ってたのが
いつの間にか
先生が手助けをしていて
きっとカナさんの事で
気まずくなったから
ご機嫌とりで
先生は手助けしたんだろうけど
ぽっと出の先生が
立って抱っこを
解決しちゃってさ
今じゃ青波を抱きしめて寝てるその姿に違和感を覚えない
自然な光景で
私もかなり
楽な気持ちになってる
先生は そぉ~っと
青波から腕を離し
布団を出て
……トイレかな?
と思ってたら
こちらに回ってきて
私の背後から
ごそごそと布団に入ってきた
「な、な、なに?」
キュウって背中から
抱きしめられ
つま先にゴツゴツした
先生の足が当たる
「物事はね、至って単純なの」
つむじの方から
先生の低い声が聞こえた
「物事は至って単純
それを複雑にしてんのは
人の感情だ」