ラブリーホーム*先生の青③
そんな事を言うのに
わざわざ
背後から抱きしめなくても……
でも、まあ一理あるか
「オレ的には、感情も
単純だと思うんだけどねぇ」
……あれ?
ちゃんと待って
「じゃあ、何が物事を
複雑にさせてるの?」
腕をほどいて
寝返りを打ち
先生の方に身体を向けると
先生は得意気な笑顔を浮かべ
「『へそまがり』じゃない?」
「………はい?」
「素直になれば
何もかも
スムーズだって事だよ」
「………はあ」
……ん?
それは私が『へそまがり』だ
って言ってんのかな?
「素直なオレ的には
チョビッと奥さんと
仲良くしてから
寝たいんだけど」
ん~って
顔を近づけてきた
先生のオデコを
ベチッッて
張り手で止める
「………ってぇなぁ
なんだよっ!イチ」
「なんだよって
先生こそ何よぉ~
ダメだよ、郁弥くんだって
いるんだから」
「何にも聞こえねーって
つか、そこまでしないって」
「そこまでとか言わないでよ」
「お前ね、奥さんだろ
キスくらい旦那に
気分よく、させろ」
「うーわ、サイアク」
「サイアクはイチだろ
この、へそまがり」
「あ~、やっぱりそうだ
結局は私の事へそまがりって」
「事実だろっ!」