ラブリーホーム*先生の青③
「いっ……ちかチャン?
あれー?どうしたのかなー」
な、なんだ?
こえーぞ
イチめっちゃこえーぞ
思わず頬が引きつり
身体が固くなる
エリナちゃんにもらった
潤いが一気に蒸発していく
ドアの隙間から
しばらく
オレをにらんでたイチは
「ふっ……」と
一度 短く息を吐き
ドアを閉め
ガチャガチャと
チェーンロックを外した
閉められたドアを見つめ
なんだ?なんだ?
ホラー映画ばりにこえー
オレなんかしたか?
それとも青波の夜泣きで
とうとう育児ノイローゼか?
だから もっと
オレに甘えろって
言った……かな?
言ってないか?
「開けたよ」
ドア越しに聞こえたイチの声
「ああ、サンキュ」
なんでサンキュなんて
言ってんだオレと思いながら
ドアを開くと………
「覚悟しやがれ
この浮気男―――――っっ」
「でえっっ!」
暗がりの中
イチはフライパンを
両手で構え
「どりゃぁぁ―――――っ」
掛け声と共に
振り下ろしてきた