ラブリーホーム*先生の青③



青波もお昼寝から目覚めて
おやつを食べさせてる時から


そわそわ、そわそわ
落ち着かない


リビングの壁掛け時計を
何度も見上げる


帰りは4時すぎるって
言ってたなぁ


バス、間違えないで
乗れたかなぁ


何かあったら
電話、くるよね………


郁弥くんはしっかりしてる
それでも、やはり心配は心配


迷子になってたりして……
なんて悶々としてると



ピンポーン


家のインターホンが鳴る



………帰ってきたー



バンッと 勢いよく
テーブルに手をつき
立ち上がる



玄関のドアを開け
水色のラインが3本入った
黒いキャップをかぶり
ランドセルを背負った
郁弥くんの姿を見ると
ホッとして顔が緩んだ



「おかえりなさい」


「……た、ただいま」


キャップの影から
ニコッと私に笑顔を向け
靴を脱ぐ郁弥くんに


「あっじゅー」



リビングから青波が
テケテケ歩いてきて
両手を伸ばす



「青波く~ん」


ムギュー
プクプクな青波を抱っこし
背中にはランドセルを背負う
小柄な郁弥くん


………なんか
郁弥くんより青波の方が
顔、でかくない?



「ランドセル片付けてくるね」


そう言いながら
青波を下ろす郁弥くん


玄関には やっぱり
きちんと隅に揃えられた
小さなスニーカーがある




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