ラブリーホーム*先生の青③




「オレがマリオでいいの?」



先生が帰ってきて
夕食も終わり
後片付けをしてると


リビングから男子の
(っていうか先生の)
にぎやかな声が聞こえてくる



「ガチでマリオいいっすかぁ?」


遊び相手が出来て
嬉しいのだろう


テレビの前
せっせとゲームソフトを入れる
先生の背中をチラリと見た



マリオを譲ってもらって
喜ぶなって……バカ


食器の泡を流す
お湯の音に紛れ
ゲームの音楽と
「おおう」とか「がー」とか
セ・ン・セ・イの声がする


それに時折、
郁弥くんの笑い声が混じる






「だぁっ!こら、青波
お前、邪魔だって

……イチ―――!イチ!
ちょい、青波なんとかして」



「はい、はい」


濡れた手を拭いて
キッチンからリビングへ


ソファーに並んで座り
同じ格好でWiiリモコンを持った
先生と郁弥くん


仲間に入りたかったんだろう
画面に張り付くように
青波はテレビの前に立ってた



「青波はこっち」


わきの下に手を入れ
抱き上げると


「ぱっぱぁ、いーじゃあー」


青波は
『お兄ちゃん』とは言えず
(当たり前だけど)
郁弥くんを『いーじゃあ』と
呼び始めた



邪魔と言われたことが
悔しかったみたいで
パパをにらみながら
青波は泣いた




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