ラブリーホーム*先生の青③




退場を強いられ
号泣する青波に
郁弥くんはオロオロとした
視線を向けたけど



「うぉっし!
これで、ゆっくり出来るぞ
郁弥っ!」



まるで何もなかったかのように
バシバシ
郁弥くんの背中を叩き
ゲームを再開する先生





寝室で よいよい
泣きじゃくる青波を
なだめながら




「悪いパパだよね
あれはパパが悪いよ
青波だって
邪魔って言われたら
悲しいよねぇ」



まったく子供なんだから
あんのバカ男……



えぐ、えぐ、と泣きながら
青波が顔を埋める肩が
涙や鼻水で濡れる




ポンポン
背中をさすりながら
ゆらゆら
寝室を歩き回ったら


……コンコン



小さいノックが聞こえて


「はーい」と言うと


カチャリ……
ゆっくりドアが開き
隙間から申し訳なさそうに
郁弥くんが顔を出した



「あ、あの、青波くん
泣かせてごめんなさい……」



……ドキューン
その健気さに胸が打たれる



「ち、違うよぉ」


慌てて戸口に駆け寄り


「郁弥くんは
何も悪くないから」


悪いのは、あのバカ一人でね…


「ごめんね、青波くん」


郁弥くんが手を伸ばし
青波の頭を撫でたとたん


くるりと
私の肩から顔を上げ
郁弥くんを振り返り


「……いーじゃあ」


鼻水でデロデロな笑顔を
青波は向けた



うーん、仲直りは美しいけど
(鼻水は汚いけど)
この独特な愛想の良さって
三島家のDNAに
組み込まれてんだろーな


なんて思っちゃったり……




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