ラブリーホーム*先生の青③




それ以上、何も言わず
手を繋いで
ただ長い間
二人で寄り添ってた



もうそろそろ
青波が泣き出すかなって頃
先生がポツリとこぼした



「せめて友達にはなりたいな
なんて……変かな?」


私は「全然」と首を横に振り
パクッと先生の唇を甘噛みした



一瞬きょとんとした先生の顔に
徐々に嬉しそうな笑みが広がり


手を繋いだまま寝室に戻った




とりあえず私ができることは
朝ごはんをお粥にかえて
郁弥くんに
無理をさせないことだけだし




先生も郁弥くんに声をかけ
自己満足に見える
兄弟ごっこをするしかない



私たちができることは
君が好きだよと
気持ちを投げかけること



それに気づくも気づかないも
受け取るも迷惑がるのも
郁弥くん次第で



正解なんてないんだ



私たちができることは
それしかない




その中で彼の心がほどけるのを
焦らず待つしかない




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