ラブリーホーム*先生の青③




「…………イチ」


先生がこちらに身体を向け
私の髪を撫でようとする



だけど振り払うように
寝返りをうち背を向けた



もう悔しくて悲しくて
涙がこぼれて
耳のあたりに流れていく



こんなことで泣きたくないし
泣いてるところは
見られたくない


だって悪いのは
全部、全部 先生だ



「……ふぅ」って
先生がため息をついた時




「うえ――――――――」




青波の泣き声が
廊下に響いた




青波が泣いてるのに
身体が凍ったみたいに
全然動かない



影が動くのが目の前の壁に写る
そのまま、先生は
寝室へ歩いて行った



みのむし みたいに
だらしなく廊下に
寝転がる私が
よっぽど子供みたいだ



夜泣きをする青波よりも
小さな小さな子供みたいだ



寂しいところに
置いてきぼりにされたみたいで
すごく心細い




泣き声が止んでも
しばらく動けないで
涙が静かに耳を濡らしてた





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