ラブリーホーム*先生の青③
「あ、いや、私は
そんなつもりでは」
私みたいな若いのが
反論してくるとは
思ってなかったんだろう
先生は明らかに慌ててた
「ただ些細な事でも
子供たちの間では
からかいの的になるんで」
だったら、先生は
ちゃんと些細な事で
からかいが起きないように
指導するべきだ
……と言いたかったけど
必死にこらえた
郁弥くんに迷惑がかかると
いけないからだ
学校を出て
「郁弥くん、傷、大丈夫?
一応、病院行こうか」
ランドセルの肩ベルトを掴み
郁弥くんは首を横に振った
「……それじゃ、
タクシーで帰ろう
今…………」
「僕、歩いて帰ります
今日はすみませんでした」
消え入りそうな声で
頭を下げ
郁弥くんは歩き出した
「……え、ちょっと郁弥くん」
呼びかけても
郁弥くんは
ずんずん歩いていく
「いーちゃ」
背中で青波が呟いた
仕方ない、歩いて帰りますか