ラブリーホーム*先生の青③
あの子は親や先生に
私にいじめられたと
騒ぎたてて
会議室に
お母さんが呼び出されて
担任の先生が言ったんだ
『市花ちゃんは寂しいんだ
お父さんがいないから』
仕事忙しいお母さんが
先生に、すみません、すみませんって頭ペコペコ下げてるの隣で見るのは、キツかった
「確かに暴言吐いた
私は悪いけどさ
バカにされたら
ムカつくんだよね
それは、どんな家に育っても
そうなのに
意外とみんな
その事を知らないんだ
他人と違う環境で育っただけで
何かあったら
それが理由になっちゃう
………ごめんね
さっき郁弥くんの先生に
生意気なこと言って」
「僕」
風に消されてしまいそうな
か細い声が聞こえた
「僕、寝坊したんだ」
「え?」
「寝坊して、
いつも一緒に学校行く友達を
遅刻させちゃって
それから、無視されてんだ」
郁弥くんの足が
だんだんゆっくりになる
「無視だけだったのが
悪口になって
物、隠されたりして
と、友達いないなんて
恥ずかしいこと
お母さんに言えないし
隠そうとしたら
なんか、分かんないけど
お母さんに優しく
出来なくなっちゃって……」
言葉を詰まらせた
郁弥くんの肩が
小刻みに震えた