ラブリーホーム*先生の青③
♯7




翌朝は雨だった



ベランダの向こう側
空一面、グレーの重たい雲が
しとしと泣いていた



こんな天気で
部屋の中が薄暗いせいか
何にもやる気が起きなくて



だらしなく
リビングのじゅうたんの上
仰向けに寝転がってた



私の傍らで
青波はおとなしく
おたま片手に鍋と格闘してる



テレビからは
朝から かけっぱなしのDVD
アンパンマンが空を飛び
パトロールをしてる



夕べは結局
あのまま先生はダウンして
何も話せないまま



今日は土曜日だから
先生はまだ寝てる



きっと二日酔いで
昼過ぎなきゃ
起きてこないな……



「………はぁ」



ため息ついて
天井を見つめる



………なにやってんだろ私



なにもかもバカみたいだ



お義兄さんから
最初に電話がきた時
先生は私に
『お前には関係ない』って
言った



どういう事情かは
まだ知らないけど
あの電話は隠し子の件だ



先生は断るつもりだったから
私に関係ないって言ったのかな



断るにしたって
やっぱり あの時点で
私に教えてくれてもいいのに
ずっと隠し続けてさ



昨日、お義兄さんと話して
どうにも断れなく
なったんでしょう



………だったら
すぐ帰ってきて
私に言ってくれれば……



ううん
私に言うべきところをよ



なんでカナさんのところに
行くの………?




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