ラブリーホーム*先生の青③
ガバッと起き上がり
青波をギューって抱きしめる
違う、違う
結婚なんかしなきゃ良かったなんて後悔して、青波を否定してる訳じゃないのに
青波がいれば
青波がいてくれて
スッゴク幸せなのに
嘘じゃないのに
「う、じゅー」
いきなり抱きしめられた青波は
迷惑そうに私の腕の中
身体を反らす
「ママは青波が大好きだよ」
ずっと夢見てた
普通の家庭じゃない
先生は他に家庭がある訳じゃなく毎日ここに帰ってくる
アル中でもなく、
ジャンキーでもなく、
多額の借金もなく
仕事もしてるし
青波だって元気に育ってる
やっと手に入れた
普通の家庭だよ
なのに なんでだろう
なんで こんなに 私 寂しいの?
「やぁや~」
青波が怒って
腕から逃げていく
たかが これくらい
そう思わなきゃ
ダメだよね
ずずーって鼻をすすり
目をゴシゴシこすって
壁の時計を見上げた
「うわ、もう11時半過ぎてる
お昼の準備しなきゃね
めんどくさいし素麺でいいか」
よいせって立ち上がり
テーブルの上のリモコンを掴み
DVDを停めた
「ぱんぱっぱーん」
アンパンマンが消えた
テレビ画面を悲しげに見つめる青波に
「見すぎはダメだよ」
なんて えらそうに言って
キッチンに向かった