ラブリーホーム*先生の青③
先生、
私に最初なんて言ったのよ
お前には関係ないって
言ったのに
私よりカナさんのところへ
一番に行って相談したクセに
今さら信じてるなんて
都合のいい事を言って……
どこまで私をバカにしたら
気が済むんだろ…………
もうイヤだ
………カタン
立ち上がった私を
先生は不安そうな目で見上げた
「イチ。
本当に迷惑かけてごめん」
テーブルに手のひらついて
唇を噛みしめて涙をこらえた
「分かったよ。
先生はもう預かるって
決めたんでしょ。
だったら私が
何か言っても無駄だし」
「イチ。なるべくイチの負担にならないようにするから。ごめんな、本当」
「………先生の話したい事は
これだけ?」
テーブルについた手のひらを
じっとにらんで
先生の言葉を待つ
「……うん」
……少し期待した
私がバカだった
「分かった。
じゃ、おやすみなさい
青波のことはいいよ
私、大丈夫だから」
ダイニングを出て
リビングのドアノブを掴み
立ち止まった。
「ねぇ、先生」
少し離れたところから
「ん?」って
先生の声が聞こえる
「先生は何で私と結婚したか
覚えてる………?」
「え?」
カタンって
椅子の音が聞こえて
「何でもない
おやすみなさい」
逃げ出すように
リビングを出た