ラブリーホーム*先生の青③
布団の上から そっと
先生は私の身体を撫でる
「………イチ。
さっき何であんな事を言った?」
布団の中
身体を固くして
息を押し殺す
「何でイチと結婚したかなんて
好きだからに決まってんのに
オレにはイチしかいないって
はっきりそう分かったから
結婚したいって思ったんだよ」
嘘つき
嘘つき
大嫌い
「………イチは違うの?」
「忘れちゃったよ、もう……」
私が そう言うと
一瞬 身体を撫でる
先生の手が止まった
だけど、また ゆっくり
優しく手が動き
「……じゃあ思い出してよ
今すぐ」
こんな気持ちで
先生を好きだった
あの頃の自分を思い出せない
あまりにも辛い事が多くて
結局『逃げ』だったんじゃないかって思う
愛してたのは
辛い事からの
現実逃避
こんな風に布団の上から
身体を優しく撫でられたら
気持ちいいはずなのに
どうしようもなく
胸が痛い