先生のビー玉
「うっそだぁ~」

そう言うと、

「いいや、お前は真面目だし、まぁ成績に波はあるけど、資格も取ってるだろ?」

「まぁね。
数打てばどっか当るよ」

そう言うと、

「投げやりにはなるなよ」

と急に真剣な面持ちで言う。
思わず顔がひきつる佳奈。
が…

「あ、先生ビー玉持ってるの?」

机の中に一つ、オレンジ色のビー玉が転がっていた。

「あ、何でだろ…これ、いらねぇ」

「じゃ貰う」

「は?」

「貰うの。就活の願掛け」

手を差し出す佳奈。
すると、

「○▲□※●◎…」

とビー玉を持って言い出した。

「先生?」

「ほい、まじないかけてやった」

「…」

「ホントだぞ」

「何言ってるかわかんないよ」

「いいんだよ」

「アリガト」

「どえらい会社に内定したりしてなぁ」

という彼に、

「零細企業だったりして…」

という佳奈。
チッと舌打ちした時である。
職員室をノックする音が聞こえてきた。

「おっ、用心棒がご登場だ」

彼が言う。
が…入ってきたのは、絵里だった。

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