先生のビー玉
家の前に到着すると、グッドタイミングなのか場が読めないのか…
父親が犬の散歩に出かけるところに出くわした。

「わっ、タイミング悪すぎ…」

佳奈がぼやく。
笑う彼。
車から出ると、彼がトランクから荷物を取りだした。
とその間に…

「彼氏か?」

「はぁ?何言ってんの?」

「いやぁ、お前好みのイケメンだ」

「最悪…」

父親の発言にぐうの音もでない佳奈。
すると…

「あ、顧問の田村です。
今、部員を送って回っているところです」

と彼、
すると…

「あはは、そうでしたか。
それは申し訳ありません」

頭を深々と下げる父親。
あわてて頭を下げる彼。
ため息をつく佳奈。

「それじゃ、私はコレの散歩を…」

と言い、愛犬、クーの散歩へ出かけて行った。
後姿を見ながら…

「面白いお父さんだな」

と彼。

「いや…おかしいだけです」

そう答えるのがやっとの佳奈だった。
< 103 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop