先生のビー玉
「今日は、ちょっと良いことがあったよ」

「ほう、良いこと?」

「うん、良いこと」

「そりゃよかった」

優しく笑うおじさんを見て大きくうなづく佳奈だった。
そして掃除時間が終わる。

「よし、終わった!」

「きれいになったな。
佳奈ちゃんがやってくれると後片付けが楽だ」

と言ってくれる。

「あははっ、ありがとう!それじゃ」

そう言い、階段を駆け上がる佳奈。
その後姿を見…

「若いなぁ…」

なんて呟くおじさんだった。

教室に戻ると、もらいたくもない1年の順位表を渡される。
まぁ、無難と言えば無難な成績なのだが…
やはり見るのは…心臓に良くない。
それより、もっとこの後の面接の事を考えると、落ち着いて見る余裕もない。

半ば上の空で夏休みの注意事項などを聞いていた。
そして終了。
あとは、夏休み。

「戸田、後で職員室に来いよ。
そのまま面接だからな」

と言われ、緊張度はウナギ登りだ。
身支度を済ませると、貴子や恭子に励まされ、職員室へ向かった。

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