先生のビー玉
「失礼します」

そう入ってくる彼女。
先ほどの会話がフラッシュバックする。
彼女に背を向けて自分だと悟られないようにゴミを捨てていると、

「お、どうかしたか?」

「下田先生は…」

「ん?あぁ、進路指導室だったと思うぞ~
戸田、もうゴミ袋一杯だなぁ」

「あっあぁ、そうだね」

名前を言うなよっと思いつつあわてて答える。
が…

「失礼します」

そう言うと出て行ってしまった。
それとすれ違いのように入ってきた貴子。

「おっ、またやってるねっ」

と威勢の良い声で言う。

「たかこ~」

情けない声で言う佳奈。

「どうかしたの?」

そう言いながら机にあるコーヒーを見逃さない。

「冷蔵庫に入ってるぞ」

彼が言うと、あっという間に持って来て飲み始めている。

「貴子…オヤジ…」

佳奈が言うと、

「だってさ、あっついんだもん。
早くクーラーはいんないかなぁ~」

と言いつつスカートをパタパタと仰ぐ。
呆れる彼。
それからしばらく世間話が始まる。
が…

「そろそろ帰るか。
もう8時だぞ」

との声に貴子と二人、職員室を出る。

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