先生のビー玉
「わっ」

思わずお腹を押さえる佳奈。
一瞬止まっていたが…大きな声で笑いだす彼。

「そうか、まだ飯食ってなかったんだな」

何度も頷く佳奈。

「神田は?今日も部活か?」

「彼女は、部室の掃除をするから終わったらメールするって言われてるんですよ。
ちょっと部室に行ってみようかな」

「そうか、じゃ…俺も飯食うかな」

と立ち上がる。
彼に続いて立ち上がる佳奈。
右に曲がれば職員室。
まっすぐ行けば、貴子の部室。
挨拶をしようとしたときである。

「あいつとは連絡とってるのか?」

「あいつ…?」

「競技会の時の…」

「…あぁ、えっと…滝川君ですか?
連絡?取るわけないじゃないですか。
連絡先なんて知らないし…っていうか、忘れてました」

笑う佳奈。

「そうか、っていうか、突っ返したんだったな。
じゃぁ、今日は本当におめでとう」

「はい、ありがとうございました」

そう言い、別れた。
なんだか嬉しくて、しばらく彼の後姿を眺めていた佳奈だった。


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