先生のビー玉
貴子の部室へ行くと…
丁度掃除が終わったところらしく、彼女と矢部が話している。
どうやら、最後の大会の話らしい。
しばらく外で待っていると、

「あっ、佳奈!どうだったの?」

佳奈に気付いた貴子が声をかけた。

「内定!」

そう言うと、

「先生、臨時マネージャー」

と佳奈を指さす。
頭を下げると…

「頼むぞっ!戸田!」

と肩を思い切りたたかれその場を去って行った。
肩をさすりながら…

「矢部先生…怖いよ」

と呟く佳奈。

「そんなことないわよ。
それにしても…やったわねぇ」

と貴子。

「やったんだけどね…
ほら、用務員のおじさん知ってるでしょ?」

「あぁ、あの佳奈の人生相談の相手?」

「そう、あれね…

理事長だったのっ!」

佳奈が大声で叫ぶと…

「うっそぉ~だって、おじさんに奴の事話したんでしょ?」

大きく頷く佳奈。

「いや~ん、どうすんの?」

「どうするもこうするも…どうしようもないよ」

「でも内定もらったんでしょ?」

貴子の問いに頷く佳奈。

「なら大丈夫でしょ。
佳奈の話からして…あのおじさん理解ありそうだもん」

「だから…理事長だって」

「あ、そうだった」

そんな会話をしつつ、街に繰り出す二人だった。

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