先生のビー玉
「忘年会も新年会も飲み会!」

ちょうど職員室に入ってきていた彼が笑いながら教えてくれた。

「あ、飲み会って言うんだ」

「飲み会…?」

あまり理解できていないようだ。
すると、

「失礼しますっ」

生徒が入ってきた。
書類に目を通しながらそれが誰かは気付かなかったのだが…

「田村先生、ちょっといいですか?」

その特徴ある声にパッと顔を上げる佳奈だ。
…絵里だ。

「先生、ちょっとパソコンをお借りしてもいいでしょうか?」

「ん?生徒会室にもあるだろ?」

「そうなんですけど、ちょっと故障してて業者の人が来てるんです」

「あっちもメンテナンス中だから使えないぞ」

と言う彼。

「明日じゃダメなのか?」

「そうなんですけど…」

「明日ならパソコン室も使えるし、生徒会室のパソコンだって使えるようになるだろう。
今日はもう休めってことだよ」

「…」

「下山先生も休みだろ?」

彼女が彼目当てで来ている事は一目瞭然だ。
まぁ、自分も人のことは言えないのだが…
資料に目を通しながらそう思っていた。
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