先生のビー玉
それを取りに行っている間、二人だけになってしまった。

「佳奈、あんた何取り入ってんの?」

「え?」

「田村先生と池田先生、両方とも取り入って何を考えてんの?」

「べ、別に取り入ってなんかないし」

「何?隠し事?何それ?何が後に分かるよっ」

「それは…」

あまりにもの剣幕に戸惑っていると、

「絵里、ちょっと言いすぎだよ。
後輩が外で待ってるよ」

貴子が職員室に入ってきた。
パッと貴子を見る絵里。

「わ、分かったわよ」

そう言うと、職員室を出て行った。

「あれ?池田は?」

「どっかに行っちゃった」

「田村は?」

「人のことを呼び捨てにするな~」

隣の職員室から彼がやってきていった。

「すんませ~ん」

貴子が笑っている。

「書けたのか?」

佳奈を覗く彼。

「もうすぐです」

彼女が書き終えるのを待って彼がチェックする。

「俺も書いたなぁ~この書類。
字が読めません。
なんて事務長に言われたっけ」

それを聞いて笑う二人。

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