先生のビー玉
「そう言えばさ、今年の文化祭…一般公開よね」

恭子が言う。

「だったっけ?
うちは何するんだろ」

と貴子。

「なんかさ、もう展示物にしてどこそこ行きたいよね」

と佳奈が言うと、二人とも大きく頷いている。
ホールに到着すると、出席番号順に着席していく。
しばらくして、理事長の挨拶が始まった。
ビシッとスーツで決めたおじさんがステージ上に立つ。

ちらっと後ろを見て指さす貴子。
うなだれる佳奈。

「あれが…理事長だったんだよね…」

なんて呟く佳奈だった。
それから30分ほどが過ぎ、始業式が終了し、教室へ。
貴子や恭子と話しながら歩いていると…

「戸田、戸田」

「おっ、愛しの田村がお呼びよ」

と恭子が茶化す。

「先に行ってるねぇ」

なんて貴子が手を振り去っていく。
苦笑いをしながら手を振っていると、

「こらっ、一度読んだら振り向けっ」

と頭を小突かれる。

「あ、すみません。ってなんですか?」

佳奈が言うと、

「あのな、もう内定が決まったことだし、このまま部活に来てくれないか?
後輩の指導に」

と彼。

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