先生のビー玉
そう思ったが…ぶつかったのは、床ではなさそうだ。
と言うより…今の状況を頭に浮かべることすらできそうもない。


そう、今の状況…
思い切り彼の胸にぶつかっているのだ。
良く言えば…抱きついている状況なのだ。


「大丈夫か?
人の話を聞けって言うの」

パッと離れる佳奈。

「あ、は、はははいっ
あはは…」

もう彼が誰と占ったかって眼中にはない。
今、この状況をどう切り抜けようか考えることも出来ない。
もう、挙動不審である。
すると…

「戸田、プリンタが動かん」

いつの間にか作業を始めたのか…パソコンを眺めている彼。

「へっ?」

「動かん」

彼は普通にしているのに自分だけがあたふたしているのが…情けない。

「あ、プリンタ?
先生…用紙切れてます」

「あ、切れてたか」

「先生?」

「こっちのパソコン室はあまり使わないからな。
ん?もう帰宅時間だな。
あいつらに伝えてきてくれるか?」

そう言われ、パソコン室を出た。


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