先生のビー玉
「青春ねぇ~」

恭子が呟く。

「そうねぇ…」

貴子もそう呟いていた。
そうこうしているうちに、教室には徐々に生徒や教師がやってきた。
その度に、作品の説明を始める。
一方佳奈は…

そ~っとパソコン室を覗く。
すると…

「こらっ、お前ら全然進んでねぇじゃねぇかっ」

と彼が叫んでいるのだ。

「あらら…全然進んでない」

昨日準備をしたはずなのだが、ソフトを起動させている間にごっちゃごっちゃになっているようだ。

すると彼が佳奈に気づく。

「戸田!頼む!」

と叫ぶ。

「あぁ…佳奈先輩!よかったぁぁ」

由梨が叫ぶ。
あわてて中に入った佳奈、片っぱしからパソコンを見つつ、後輩に指示を始める。

「えっと、由梨はOK。
後は、このプリンタの電源。
次は…パスワードが間違ってる…」

という風に。
それを彼が感心して見ていた。

「先生、受付は?誰かいるんですか?」

突っ立っている彼に言う。

「あぁ、忘れてたっ
すまん、しばらくの間、頼む」

そう言われ、あわてて受付に走る佳奈。
パイプ椅子に座り…

「来て良かったかも…」

なんて呟いていた。


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