先生のビー玉
「なんだ?」

彼が佳奈の背中を目で追っている。
それを見た恭子…

「あのさ先生、佳奈の事どう思ってる?」

「は?」

いきなりの質問に面喰っている彼。

「佳奈の事どう思ってるかって聞いてんのっ」

「ち、ちょっと落ち着け」

「落ち着いてられるわけないでしょ?
何?その態度…ムカつく」

彼女の興奮状態が簡単に冷めないと思ったのか…
準備室に行かせる彼。

「そこ、座れ」

落ち着かせようと椅子に座らせる。

「何が言いたい?」

「は?」

「何が言いたいって言ってるんだ」

「じゃ、はっきり言うね。
先生、佳奈の事気になってるでしょ?
少なくとも、貴子と私は見て分かる。
普段の佳奈に対する態度、競技会での態度。
あ、言っておくけど…
私と貴子は先生に対して何の感情も持ってないからね」

ときっちり言う恭子。
黙って聞いている彼。

「先生の佳奈に対する優しさって、教師が生徒に対して感じる優しさじゃないんだよね。
気になってる子に対する態度だよ」

彼が何も言わないので続けて言う恭子。

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