先生のビー玉
「…ちゃん、佳奈ちゃん」

「え?あ、はい?」

「ほら、こないださ、渡し損ねちゃったヤツ」

差し出された一枚のカード。

「あ…」

それは、競技会の後に彼によって渡せなかった連絡先のカード。

「え?もらえないです…」

佳奈がそう言うと…

「別にそんなに難しく考えないでほしいんだけどなぁ」

困ったような表情の孝司。



「ったく…どいつもこいつもっ」

それを由梨と一緒に見ていた貴子が席を立つ。

「先輩?」

由梨が言う。

「奴なんか…絵里にずっと話しかけられてるくせに…ずっと佳奈の事気にしてる」

時間にして15分ほどなのだが…
彼が佳奈の事を気にしているのは…一目瞭然である。
とその時…
準備室のドアが開いた。
そして恭子が何やら言っているのである。

「何やってんのかしら?恭子」

貴子が呟く。
すると…絵里が準備室から出て行ったのである。

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