先生のビー玉
「ね、駄目かな?」

うつむいている佳奈を覗き込みながら言う孝司。
黙っている佳奈。
男性経験がない分、そういう行動にはどう対処していいのかがわからないのだ。
とその時…

「ちょっと、いい加減にしないか?」

彼が孝司の後ろに立った。
パッと顔を上げる佳奈。

「うちの生徒、ものすごく困ってるよな。
見てて分からないか?」

「俺はただ…」

「せっかくの文化祭なんだから、楽しんだらどうかな?
色々と見て回るところもあるだろう。
うちの部活にも来てもらってありがたいんだが…
部員にそういう行動をされると、困るんだよね」

彼の剣幕も…かなりすごい。

「田村先生のあんな顔…見たことあります?」

と由梨。

「見たことないね。
ぼーっとしてるか、お茶らけた顔くらい」

と貴子。恭子も頷いている。
当の孝司も顔が引きつっている。

「この間も同じようなことをやってくれたようだけど…
彼女が嫌がっている以上、止めるのが…男じゃないかな?
それが分かったのなら、ここから出て行ってくれるかな?
さもないと…
君の学校に連絡するよ」

とダメ押しの一言。

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