先生のビー玉
それでも納得いかない表情の孝司を見て…

「怒鳴られたくないのなら…
出ていけ」

他の生徒に分からないように、静かにあくまでも冷静に言った。
その冷静さが効いたのか…
サッと立ち上がり、

「じゃ、佳奈ちゃん。
またね」

そう言い、パソコン室を出て行った。
それを見、さっきまで座っていた孝司の席に座る彼。

「お前なぁ、ちゃんと断れよ」

佳奈のおでこを小突く。

「断りましたよ」

打って変わった彼の態度に強張っていた表情が一転した。

「そうか?」

「そうです。
私、全然興味ないです」

すると大きな声で笑い出す彼。
不思議そうに佳奈が見ていると…

「あいつも肩なしだな。
ここまで拒否されたら…
そうかそうか、一之瀬っ」

「なにっ」

「お前、戸田の代わりにやっとけ」

「はぁ?」

「さっき、人の事呼び捨てにした罰」

「…ほいほい」

渋々佳奈の席に立つ。
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