先生のビー玉
心配した神田と一之瀬がやってきたが…
俺には何も言う権利はない。

そう、俺は、ただの教師だ。

それが気に食わなかったのか…
一之瀬が怒鳴り始めた。


彼女の事をどう思っている?
俺の対応が、教師としてではなく、男としてとしか見れない


などと並びたてる。
分かってる。
分かってるが…

どうしようもできないだろ?

頭を抱えている間に出ていく彼女たち。


「先生、大丈夫?」


天を仰ぎ呆けていると近藤がやってきた。


「いいや、なんでもない」


そう言うと、


「先生、佳奈先輩の事…好きなんでしょ?
っていうか、佳奈先輩は先生の事好きですよ。
ずーっと。
1年の時から。
ま、恭子先輩や貴子先輩は、ああいう性格ですから気にしないほうがいいですよ。
でも、あの滝川って人には気をつけておいたほうがいいと思いますよ」

「…お前…」

「女子高生をなめちゃいかんです。
分かるんですって。
先生、分かりやすいもん」

そう言い、準備室から出て行った。


ったく…どいつもこいつもっ


教師失格だと自分を笑った。



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