先生のビー玉
机の上に散乱しているごみを見…

「これ、捨ててくる」

佳奈がかき集めパソコン室を出ていく。
二人になる彼と貴子。
佳奈が出ていくや否や…

「あのさ先生。
お願いがあるんだけど」

彼に小さい声で話しかける貴子。

「なんだ?」

「佳奈に対する態度…変えないでね。
俺は教師だから…とか言ってさ、急に冷たくされちゃぁ、佳奈だってショックだよ。
だからさ、今までどおりに…ねっ」

懇願する。
それを見…ため息をつき、

「俺はそんなに器用な人間じゃない」

と呟いた。

「先生?」

貴子が言うと、

「お前がめずらしいなっ。
まぁ、心配するな。
これでも悩んでんだぞ!これからどうすればいいかってな。
お前らとは違って、いい大人なんだぞ、俺は」

カラッと笑って言った。
すると…

「だって、大事な友達だもん。
佳奈には辛い思いなんてさせたくない」

と貴子がつぶやいた。
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