先生のビー玉
「絵里にも言っておかなきゃね。
えっと…」

「どうしてあんたなわけ?」

「へ?」

「どうしてあんたが卒業アルバムの写真撮影の事、知ってんの?」

「田村先生に聞いた」

「どうして?」

「どうしてって…こないだ掃除場所に先生が通りがかって、その時に聞いたんだけど…」

「ウソ」

「ウソじゃないよ」

「暇さえあれば先生に取り入ってんじゃないの?」

と言う始末。

「そんなことないよ。
私じゃなくても誰でも良いんじゃないの?
たまたま私がいたからだと思うけど」

佳奈が言うと、

「部長は私よ。
なのにどうしてあんたなわけ?」

と毎回の事ながら…同じ事を言う。

「私達は引退したから部長でも副部長でもないよ」

そう言うと、

「でも、私は部長なのっ。
あんたがいつまでも部活に行くんなら、私も行くから」

なんて言うと、さっさと教室へ戻っていった。

「あんたも大変だ」

一部始終を見ていた恭子が苦笑い。
つられて佳奈も苦笑いだった。

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