先生のビー玉
黙っている由梨を見ていた由香が…

「由梨を殴ろうとしたんです。
それを佳奈先輩がかばってくれて…
そしたら怒って出て行っちゃったんです」

と由梨に代わって言ったのだった。

「そうか…分かった。
じゃ、時間になったら帰れよ。
俺は準備室にいるから」

そう言い、準備室へ行ってしまった。
すぐ後をついて中に入る由梨。

「どうかしたか?」

「佳奈先輩…もうここには来ないって。
絵里先輩がこうやってくるのは、私が来るからだって。
だから、絵里先輩にきちんと言うから大丈夫だって言ってました」

間髪いれずに由梨が話す。

「分かった。
分かったから、気にするな。
ったく…トラブルメーカーも良いところだよな」

と笑う彼に…

「先生…佳奈先輩…もう来ないかな?
もう来ないんなら…私のせいだ」

落ち込む由梨に…

「ばぁかっ。
来る、来ないはあいつの自由だ」

笑って言う彼に…

「先輩がいっつも来るのは…先生が頼んだからです。
でもそれは、恩を着せてるとかじゃなくて、ただ先生に会いたいから…

だと…


思うんだけど…なぁ…」

どんどん音量が小さくなっていく。

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