先生のビー玉
競技が始まるとあっという間に1区、2区と過ぎていく。
おれは3区。


「足、もつれるかもしれねぇな」


と同じ区の生徒に言うと、思い切り笑われる俺。


「先生、次ですよ」

係の生徒に呼ばれ、ライン上に立つ。
池田先生が、


「お願いしますよっ」


と駆け込んでくる。
それに笑って答え、バトンを受け取る。
何気にフィールドに目をやると…
彼女がこっちを見ていた。


かっこいいところ見せなきゃな


必死で走った。
そしてアンカーの矢部先生へバトンを渡す。


結果は…1位。


後で、神田にこっぴどく嫌味を言われたが…


まぁ、良いところ見せれて良かったなと思いつつ…
この巾着袋を渡すタイミングを考えていた。


彼女と話ができる…なぁ


なんて思いながら。
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