先生のビー玉
そしてまたしばしの沈黙が続き、

「告白してみようかなぁなんて思っちゃったりして…」

と佳奈。
彼は聞いているのかいないのか…運転に集中しているようだ。

なんだか恥ずかしくなった佳奈、

「なんちゃ…」

ガクンッ

体が前に押し出される…あまりにもの突然の事で言葉が出ない佳奈。

「大丈夫かっ」

そう言う彼を見、頷く佳奈。
大きなため息をついた彼、

「お前が…いや、ちょっとボーっとしてた。
シートベルトちゃんとしてて良かったよ」

「あ、はい。
って、私がどうかしましたか?」

彼の言葉を聞き逃さなかった佳奈、彼に聞く。

「え?」

「さっき、お前って…」

聞き返した彼にそう言うと、困ったような表情で佳奈を見る彼がそこにいる。

「先生?」

どうしてそう言う表情で自分を見ているのか把握できない佳奈。
すると、

「…いや、なんでもないよ」

小さなため息をつきそう言うと、佳奈の頭をグシャグシャとし、運転を再開させた。
家まではほんの少しで到着したが、あの困ったような表情の彼がどうしても気になる佳奈だった。
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