先生のビー玉
「佳奈、告れっ」

貴子が言う。
次の日、昨日のことを貴子に話している。
話した…と言うより、佳奈の態度がおかしいので問いただしたといった方が早いのだろうが…

「えっ、えぇっ」

叫ぶ佳奈。

「軽く動揺してんじゃん?
その急ブレーキの原因、佳奈の発言でしょ?
絶対、気にしてるんだって」

とあおる貴子。

「そんなことないって。
そんなことない。
ありえない。絶対にありえない」

そう言い張る佳奈を見…

「佳奈、自分に自信がないのかどうかは分からないけど、佳奈は自信持って良いんだからね。
私は、あいつと佳奈は絶対にうまくいくって思ってるから」

そんな貴子の一言に、どうしてそんなに自信を持っていえるのか全く理解できない佳奈…

「ムリだってっ。
ムリだよ~」

笑って編み物を続ける佳奈だった。
だが…

あの時、どうしてあんなに動揺していたのか…
それは確かに自分の発言なのかもしれない。
でも…
先生が私に気がある?

「ありえないって」

ボソッと呟く佳奈だった。
そんな佳奈を見…彼の気持ちを知っているからこそ、歯がゆい思いをする貴子だった。
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