先生のビー玉
「先生、私は良いと思いますよ。
ただ、他の生徒に影響がなければ…ですけどね」

そう言う池田に、

「彼女に嫌な思いはさせられませんよ」

と彼。

「でも、バレなければいいんじゃないですか?」

「え?」

「例え、戸田が在学中でも、バレなければいいんじゃないかと思うんですよ。
卒業すれば同じ社会人ですからバレようがどうしようが関係ないですし」

机に置いた書類に目を通しながら発言する池田をただ呆然と見る彼。

「ね、先生…
先生?なに呆けてるんですか?
彼女の気持ち、分かってるでしょ?
私は先生の気持ちも分かっています。
あいつが職員室や部室に来なくなったとき、どう思いました?
二人とも見ていて歯がゆくて歯がゆくてこっちがイライラしましたよっ」

と半端呆れて言いだした。

「…そっか…」

呟く彼。

「でも、じっくり考えることですよ。
ですが…
戸田はかわいらしくてしっかりした生徒ですからね、他校生に持っていかれないようにしなきゃいけませんよ」

と言う池田に反応する彼。

「あはは、ウソです。
ウソウソ。
私は、先生の見方ですからね」

そう言い笑う池田を見て大きなため息をつく彼だった。



卒業するまで…待てるのか?



そう自問自答する彼だった。

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