先生のビー玉
それから1週間が過ぎ、クリスマスイブ前日。

「いよいよ明日ね」

孝子が恭子に声をかける。

「でもさぁ、佳奈のことだから絶対に告白なんてしないと思うのよね」

恭子もおもしろくなさそうにつぶやく。
当の佳奈は前日、遅くまでやっていたのか…

ボー

っとしている。

「佳奈、起きてる?
次は体育だよ」

と孝子が声をかける。
のそっと立ちあがった佳奈、ジャージに着替えると彼女たちと一緒に体育館へ向かう。

「何時までやってたの?」

恭子が聞く。

「えっとね…3時かなぁ?」

「3時?出来上がってたんじゃないの?」

孝子が驚いている。

「あのね、メッセージカードをいれようと思って考えてたんだけど…
何を書いていいか悩んでたんだ」

恥ずかしそうに言う佳奈。

「そりゃもう決まってるでしょっ」

と恭子。
うなづく孝子。
不思議そうに二人を見る佳奈。

「も、もしかしてさ、体育大会、ありがとうございました。
とか書いたとか?」

彼女の表情を見、孝子がすかさず言うと、

「そう!考えてやっとそれがいいって思ったんだ!」

と嬉しそうに佳奈。
大きなため息をつく二人。

予感は…当たっていた。
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