先生のビー玉
「…準備しましたよ」

「わっ、なんだかいいわねぇ~
うらやましいっ」

「…」

「それを作ってて寝不足ってわけね」

「いや、そういうわけでは…
って先生、やっぱり…
生徒が教師に告白するのって…駄目でしょうか?」

佳奈の一言に、少しだけ驚いた孝枝だったが…

「いいんじゃないかしら?」

拍子抜けするほどあっさり答えられた佳奈。
すると…

「ただし…我慢しなきゃいけないこと…たくさんあるわよ」

と付け加えるように言う彼女。

「我慢…?」

「そう、我慢。
相手は教師だもんね。分け隔てなく接しないといけないし…
まぁ、私は教師と付き合ったことないから分からないけどね」

と彼女。
そして、

「でも、田村先生だったらそこんとこきちんとしてくれるんじゃないかしら?」

続けて一言。

「い、いえ、私の気持ちを伝えられればそれで良いんです。
成功するはずなんてないですよっ」

と笑いながら言うと、

「じゃ、教室に戻ります。
本当にありがとうございました」

そう言うと、教室を出て行った。


「全く…自分に自信を持ちなさいよっ」


孝枝は出て行ったドアのほうを眺めながら呟いた。
< 275 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop