先生のビー玉
保健室から出た佳奈、教室に戻る。
だが…教室には誰一人いない。

「あ、移動教室だった…
えっと…わっ!パソコン室だっ」

あわてて教室を出る。
先ほど、孝枝に言われたことを思い出しながら歩く佳奈。


私は先生とどうしたいなんて思ったことない。
ましてや、先生が私のことをそういう対象に見てくれているわけが無い。


「…戸田?」


パッと我に返る佳奈。
目の前に立っていたのは…彼だった。


「わっ!びっくりしたっ」


驚いていると、

「こっちは、5回くらい呼んだぞ」

と笑っている彼。

「あ、ボーっとしてました」

つられて笑っていると…

「倒れたんだって?大丈夫か?」

といつの間にか彼の耳にも入っているみたいだ。

「あ、大丈夫です。
ただの寝不足なんで」

そう言うと、

「そうか?あまりムリするなよ」

と彼。
そして気付いた佳奈。
彼が一緒の方向に歩いている。

「先生、どこに行くんですか?」

「ん?あぁ、準備室」

と一言。
結局、一緒にパソコン室に到着した。
実は彼…孝枝に聞いて来ただけだったのだ。


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