先生のビー玉
そして佳奈。
とりあえずパソコン室に向かってみた。

「どうせ…生徒がいっぱいいるんだろうなぁ…」

なんてつぶやきながら。
すると、

「ほらっ、さっさと帰れっ!
仕事ができないだろうがっ」

と中から叫び声が聞こえてくる。
そう、悲鳴にも似た…

「先生っ、彼女とデートぉ?」

なんて生徒たちが聞いている。

「そうだよね…彼女ぐらいいるよね…」

それを聞きながらつぶやく。
そしてガヤガヤと出てくる生徒と鉢合わせするのが面倒くさかったので、先に下に降りて待ってみる。
彼女たちが通り過ぎ、パソコン室へ走る。

準備室の前に立つ。

中に彼以外に誰かいないか探ってみる…

が、声は聞こえない。

ノックをしようと手を出す…

が、勇気が出ない。

どうしようか迷っていると…


「さっさとノックしろっ」

「た、たかっ」

「じゃんねぇ~」


貴子と恭子が後ろからそう言い、ノックだけしてさっさと出て行ってしまった。
突然の登場に固まる佳奈。

が…


「はい」


彼が返事をしている。
これはもう…はいるしかない。



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