先生のビー玉
一方…

「あっ、戸田っ」

プレゼントを手に外に出る。
が…

彼女の姿はなし。

「あぁっもうっ」

とっさに行動できなかった自分にいらだつ田村。
とりあえず戸締りをし、準備室を出る。

職員室に到着し、机の上の惨状に驚く。

「田村先生…
すごい有様ですね」

池田が驚いている。

「…」

棚の上に置いてある段ボールにすべてを入れる。
ただ一つを残して。

「あぁ、戸田見ませんでした?
ずいぶん前に職員室を覗いてましたけど…」

と池田。

「探してるんです」

呟く彼。

「もしかしたら…図書室かもしれませんよ。
やつらがいますから」

と池田。
そして彼も思い出す。

「最近は、よく図書室にいます…」

佳奈の言葉を。
彼女からもらったプレゼントを手に職員室を出る。

「あっ、行っちゃった…」

池田はそう呟き、彼の段ボールを覗く。

「ひとつもらっちゃぁいけないかな?」

なんて呟きながら…

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