先生のビー玉
図書室を出、中庭に向かう。
ぐるっと見回してみるが…

彼女は…いない。

すると…

保健室から顔を出してコソッと彼を呼ぶ孝枝がいた。
そして、手招きをしている。

「なんですか?
今、先生の相手をしている場合じゃ…」

「シッ」

彼をさえぎり…

「探し物…ここにいます」

そう言い、口パクで

「と・だ」

という彼女。
あわてて保健室の入口に立つ彼。
すると、

「じゃ、ちょっと留守番しててくれるかしら?
私はちょっと用事あるから」

そう言い、中から出てきた孝枝。
そして…

「か~な~り~自己嫌悪陥ってるみたいですよ」

そう言い、

「もう戻ってきませんから、これ、ちゃんとお願いしますね」

鍵を手渡され、

「あ、ちゃんと鍵閉めてくださいよ。
帰りも当然ですが…
今もね」

そういうと、不在という札にかえ、颯爽と帰っていく彼女だった。

何も言えない彼。

「やっぱり苦手だわ…」

そう呟く彼だった。

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