先生のビー玉
いつもはすぐ到着する公園なのに…

「こんなに遠かったっけ」

走りながら呟く佳奈。
やっとのことで公園にたどり着くと…
やはり煙草を吸いながら待っていてくれた。

「走ってきたのか?」

はぁはぁ言っている佳奈を見て言う彼。
頷くと…

「ゆっくり来ればいいものの…ほら、乗って」

助手席を指差す。

「おじゃまします…」

乗り込み、緊張しながらシートベルトを締めていると…
感じる視線。
チラッとそちらのほうを見ると、当然のことながら…目が合ってしまう。
それだけで…顔から火が出てしまうのではないかと思ってしまう状況。

「…真っ赤だぞ」

「だ、だってっ、信じられないんですもん」

目をそらし、うつむく佳奈。

「ばぁかっ。
俺だって信じられないよ」

そう言いつつ車を発進させた。
思わず出た彼の言葉で顔を上げると…

「しょっちゅう会えないけど…いいのか?」

進行方向を見ながら言う。

「…はい」

「俺から言っておいてこんなことを言うのもあれなんだが…
つらい思いをするときもあるかもしれない。
でも、俺は、お前のことを一番に考えてる。
これは、今までもこれからも同じだ。
それだけは覚えておいてほしい」

「今まで…?」

「ま、まぁ、そういうことだっ」

はっきり言ってあわてている彼を見…
少し笑いながら頷く佳奈だった。

「笑うなッ」

その一言にまたわをかけてしまったように笑い転げる佳奈。

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