先生のビー玉

告白

とうとう言ってしまった…

彼女を家まで送り届けマンションの駐車場の車の中。
ハンドルを持ったままフリーズしている俺。

「田村先生、た~む~ら~せんせいっ」

あの後、職員室に戻った俺は彼女からもらったプレゼントの袋を目の前に置き、にやけていたに違いない。

「はっ?あ、何か?」

「それ…それもプレゼントですか?」

と恨めしそうに言ってくる彼。
頷くと…

「あ、それっ…とだっ…ムゴムゴ…」

そりゃそうだ。
彼女は、彼の生徒。
この紙袋を持っているのも…見ているに違いない。
黙ったのを確認し、手を離すと…

「(それ、戸田のでしょっ)」

とコソッと言ってきた。
隠していても…しょうがない。
頷くと、

「それじゃ…」

パッと表情が明るくなる彼。

だった…彼は…知ってたんだ。

「まぁ…そんな感じです」

観念した俺。
すると…

「(うちの生徒、泣かせるようなことしたら許しませんから)」

と言い、

「この段ボールのプレゼント…食べ物だけ貰っていいですか?
どうせいらないでしょっ」

そう言い、口止め料のように持ち去って行ってしまった。

彼女たちには申し訳ないが…

まぁ、そういうことだ。
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