先生のビー玉
それを何気に見る佳奈。

「先輩、ここがわかんない」

と由梨が聞いてくる。

「ん?そんなの田村に聞きなよ。私はわかんないよ~」

と言いつつペンを回す佳奈。

「うそ、分かるくせに」

と前からどかない由梨に仕方ないと教え始める佳奈。
真面目に聞く由梨。

「…とこうなるわけよ」

と説明する。

「やっぱり先輩に聞いて正解!分かりやすいよ」

と言われ…

「そんなこと言ってくれるのは由梨だけだよ」

と言いつつ問題を解き終える。
ふと準備室を見る。
にこやかに話す二人。
美男美女…お似合いだ。

「美女と野獣だね」

口から出てくるのはウラハラな言葉だ。

安藤絵里。
俗に言う優等生。
生徒会役員と部長を兼任する女子高生。
教師からも信頼を得られている生徒だ。

「やっぱり分かんない!」

という後輩達に教えていると、

「なにしゃべってんだ?」

と彼がいつのまにかやってきていた。

「しゃべってんじゃないよ」

と佳奈は言うと、

「はい、先生がおしゃべりをしている間に全員問題解けましたよ。
じゃ、採点御願いしますわ」

と、全員のプリントを集めて彼に渡す。

< 3 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop